透析治療について
透析治療についてのご案内
腎臓は、私たちの体の中でとても重要な役割を担っています。血液の中にある老廃物や余分な水分を取り除いたり、電解質(カリウムやナトリウムなど)のバランスを整えたり、酸と塩基の調整を行うことで、体内の環境を安定に保っています。
ですが、腎臓の機能が少しずつ弱まってしまうと、体にさまざまな変化が現れることがあります。
ここでは、腎機能が低下したときに起こりやすい影響について、わかりやすくご紹介いたします。
腎機能低下による主な影響
老廃物が体にたまってしまう
腎臓は、血液の中にある不要な物質をろ過して、尿として体の外に出す役割を担っています。ですが、腎臓の働きが弱くなると、尿素やクレアチニン、カリウムなどの老廃物が体内に残ってしまいます。
これにより、次のような症状が現れることがあります:
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なんとなく体がだるい、疲れやすい
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吐き気や食欲不振
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集中力が続かない、ぼんやりする
こうした症状は、日常生活にじわじわと影響を与えることがあり、気づかないうちに体調を崩してしまうこともあります。
水分のバランスが崩れてしまう
腎臓は、体の中の水分量を調整する働きもしています。腎機能が低下すると、余分な水分をうまく排出できなくなり、体に水分が溜まりやすくなります。
その結果、以下のような変化が起こることがあります:
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手足や顔がむくむ(浮腫)
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血圧が高くなる
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心臓に負担がかかり、心不全のリスクが高まる
特に高齢の方や持病のある方は、こうした水分の調整異常が体に大きな負担となることがあります。
電解質のバランスが乱れる
腎臓は、カリウムやナトリウムなどの電解質を調整する役割も担っています。これらのバランスが崩れると、体の機能にさまざまな影響が出てきます。
たとえば:
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心臓のリズムが乱れる(不整脈)
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筋力が低下し、力が入りにくくなる
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特にカリウムが多くなりすぎると、命に関わる危険な状態になることも
電解質のバランスは目に見えにくいものですが、体の中ではとても重要な働きをしています。
血をつくる力が弱くなる(腎性貧血)
腎臓では「エリスロポエチン」というホルモンが作られており、これは赤血球をつくるために必要な物質です。腎機能が低下すると、このホルモンの分泌が減り、赤血球の数が少なくなってしまいます。
その結果、次のような症状が現れることがあります:
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貧血による息切れ
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疲れやすくなる
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階段を上るのがつらくなる、動くとすぐに休みたくなる
腎性貧血は、日常生活の質を下げてしまうことがあるため、早めの対処が大切です。
骨や血管にも影響が出る(骨・ミネラル代謝異常)
腎臓は、カルシウムやリンといったミネラルのバランスを保つ働きもしています。これらのミネラルは、骨の健康や血管の状態に深く関わっています。
腎機能が低下すると:
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骨がもろくなり、骨折しやすくなる
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血管にカルシウムが沈着し、動脈硬化が進行する
こうした変化は、長期的に見て健康に大きな影響を与える可能性があるため、定期的な検査や予防的なケアが大切です。
腎機能低下が進行した場合の対応
腎臓の機能がある程度低下しても、食事療法や薬物療法で自覚症状に乏しいこともありますが、最終的に腎臓の機能が低下し末期腎不全まで進行すると、腎臓の働きを補う透析治療が必要となります。透析は、腎臓が担う血液の浄化機能の一部を代替し、体内の老廃物を除去し、水分バランスを調整するための治療法です。
当院では、腎臓専門医・透析専門医が診療を担当しており、腎疾患・透析医療に関する専門的な知識と技術を活かした質の高い医療を提供しています。患者様一人ひとりに最適な治療プランを提案し、透析生活を快適に過ごしていただけるよう、医師・スタッフ一同がサポートいたします。
透析治療についてのご不安やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
透析の種類と特徴
透析治療には、患者様の病状やライフスタイルに応じて選択できる方法があり、主に 「血液透析(HD)」と「腹膜透析(PD)」 の2種類が存在します。
当院では、血液透析・腹膜透析の両方に対応しており、患者様一人ひとりの状態や生活環境を考慮した治療計画を提案しています。透析治療は長期にわたるため、患者様が安心して治療を継続できるよう、設備の充実や医療スタッフのサポート体制を整えています。
血液透析(HD)
概要
血液透析は、専用の透析装置を使用して血液を体外へ取り出し、老廃物や余分な水分を除去した後、浄化された血液を体内へ戻す治療法です。腎臓が本来行うべき血液の浄化機能を人工的に補うため、腎機能が大きく低下した患者様にとって重要な治療法となります。
治療スケジュール
通常、週に3回(例:月・水・金 または 火・木・土)、1回あたり約4時間の治療を行います。これは、腎臓が行う24時間の浄化作業を限られた時間で代替するため、定期的な治療が欠かせません。
メリット
- 老廃物除去の効率が高いため、治療後にすっきりとした感覚が得られることが多い
- 専門の医療スタッフが常に監視しており、安全性が確保される
- 透析の効果が安定しやすく、長期的な健康管理をしやすい
デメリット
- 定期的な通院が必要であり、時間の確保が求められる
- 治療後に血圧低下や倦怠感を感じることがある
- 透析スケジュールに合わせて仕事や生活の調整が必要になる
当院の取り組み
当院では、患者様が快適に透析を受けられるよう、リラックスできる環境の整備や個別対応のモニタリングを徹底しています。また、血液透析を行う患者様の体調管理を考慮しながら、食事指導や生活習慣のアドバイスも提供し、透析生活がより充実するようサポートしています。
腹膜透析(PD)
概要
腹膜透析は、患者様の腹腔内に透析液を注入し、腹膜をフィルターとして利用して老廃物や余分な水分を除去する治療法です。腎臓の代わりに腹膜を活用して血液の浄化を行うため、体内で透析が完結するという特徴があります。
治療スケジュール
腹膜透析には2つのタイプがあります。
- 連続携行式腹膜透析
- 1日に4回ほど、患者様自身が透析液を交換する方法
- 自宅や職場でも可能なため、時間の調整がしやすい
- 自動腹膜透析
- 就寝中に透析装置を使用して自動的に透析液を交換する方法
- 仕事や日中の活動に影響を与えにくいため、生活の質が向上しやすい
メリット
- 通院の頻度が少なく、旅行や仕事のスケジュールを柔軟に組める
- 体内で透析を行うため、血圧の変動が少なく、疲れにくい
- 自宅で実施できるため、患者様のライフスタイルに合わせやすい
デメリット
- 自己管理が必要であり、透析液の交換や清潔管理が求められる
- 腹腔内にカテーテルを挿入するため、感染症リスクがある
- 長期的に行うと、腹膜が硬くなる(腹膜硬化症)可能性がある
当院の取り組み
当院では、腹膜透析を希望される患者様に対して、透析液交換の指導や感染予防の対策を徹底し、安心して自宅で治療を継続できるよう支援しています。また、定期的な診察を通じて、腹膜透析が適切に行われているかチェックし、長期的な健康管理をサポートしています。
当院の透析治療の特徴
当院では、血液透析と腹膜透析の両方に対応しており、患者様の病状やライフスタイルに合わせた透析方法を選択できます。 また、治療の効果を最大限に引き出すため、患者様一人ひとりに合わせた食事指導や生活習慣のアドバイスを提供し、透析生活を快適に過ごしていただけるよう支援しています。
さらに、通院が必要な血液透析の患者様には負担を軽減する環境を整え、腹膜透析の患者様には適切な自己管理のサポートを行うなど、それぞれの透析方法に応じた細やかな対応を心がけています。
