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脂肪肝

脂肪肝とは?――放置すると怖い「全身病」の入り口

「健康診断で肝臓の数値を指摘されたけれど、痛みもないし放置している」 「健康診断で脂肪肝と言われたけど痛みもないなぁ」「お酒は飲まないから、脂肪肝と言われてもピンとこない」

もしそのようにお考えであれば、少しだけ立ち止まってこの記事を読んでみてください。 現在、日本人の3〜4人に1人が脂肪肝であると言われています。かつては「太っているだけ」「よくあること」と楽観視されていましたが、近年の研究で、脂肪肝は肝臓だけの問題ではなく、心臓病、脳卒中、そして「腎機能の低下」に直結する全身性の疾患であることが明らかになっています。

1. 脂肪肝の正体:2つのタイプ

脂肪肝は、原因によって大きく2つのタイプに分けられます。

  • アルコール性脂肪肝(ASH) 長年の過度な飲酒が原因で起こるものです。

  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/MASLD) お酒をほとんど飲まない人でも、食べ過ぎや運動不足による肥満、糖尿病、脂質異常症などが原因で起こります。最近では、医学界で「代謝異常に関連する肝疾患(MASLD)」と呼称が変わりつつあり、まさに生活習慣病そのものとして扱われています。

2. 「ただの脂肪」が「怖い病気」に変わるまで

脂肪肝を放置すると、肝臓の中で何が起きるのでしょうか。そのプロセスは、気づかないうちに静かに進行します。

  1. 単純性脂肪肝: 肝細胞に脂肪が溜まっている状態。まだ逆戻りが可能です。

  2. 脂肪肝炎(NASH/MASH): 溜まった脂肪が酸化し、肝臓に「炎症」が起きます。

  3. 肝線維化・肝硬変: 炎症が繰り返されると、肝臓が傷跡だらけになり、カチカチに固まります(線維化)。こうなると元の柔らかい肝臓には戻りません。

  4. 肝がん・肝不全: 肝硬変が進行すると、肝がんの発症リスクが劇的に高まります。

「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、ギリギリまで痛みを発しません。数値に異常が出たときこそが、この連鎖を断ち切る唯一のチャンスなのです。

3. なぜ「腎クリニック」で脂肪肝を治療するのか?

当院が脂肪肝の診療に力を入れているのには、重要な理由があります。それは、「肝臓と腎臓は、一蓮托生(いちれんたくしょう)」だからです。

  • 共通の敵「肥満と血管ダメージ」: 脂肪肝を引き起こす「内臓脂肪」は、全身に炎症物質を放出します。これが血管を傷つけ、腎臓の細い血管をボロボロにします。

  • 負の連鎖: 脂肪肝がある人は、そうでない人に比べて慢性腎臓病(CKD)の発症率が大幅に高いことが統計的に証明されています。

  • トータルケアの必要性: 肝臓だけを見て腎臓を見逃したり、あるいはその逆であってもいけません。当院では、腎臓専門医の視点から、解毒と排泄を担う「二大臓器」を同時に守るアプローチを行います。

 

4. 治療へのアプローチ:無理なく、あなたらしい健康習慣を

脂肪肝や肥満症の改善で何より大切なのは「減量」ですが、無理な食事制限や激しい運動は、体にも心にも負担がかかり、長続きしません。実は、体重を3〜5%減らすだけでも、肝臓の脂肪は驚くほど変化します。私たちは、「頑張って痩せてください」とただ突き放すような指導はいたしません。血液検査やエコー検査で、あなたの現在の肝臓や腎臓の状態を客観的に把握した上で、日々の生活の中で「これなら続けられる」という小さな改善ポイントを一緒に探していきます。併存症などによっては時にはお薬の力を借りて、代謝をスムーズにすることも可能です。医学的な視点と、あなた自身の生活リズムを大切にしながら、二人三脚でゴールを目指しましょう。

 

5. メッセージ

「痩せなきゃいけないのは分かっているけれど、なかなかできない」。それは、あなたの意志が弱いからではなく、肥満や脂肪肝が「体の仕組み」の問題だからです。当院は、単にお薬を出すだけの場所ではありません。あなたが10年後、20年後も、自分の足で歩き、美味しいものを食べ、健やかな腎臓と肝臓でいられるための「伴走者」でありたいと考えています。健康診断の結果を机の奥にしまう前に、まずは一度、私たちにお話しを聞かせてください。

 

よくある質問(FAQ)

当院に寄せられる脂肪肝・肥満症に関するご質問をまとめました。

Q. 「ただの脂肪肝」と言われましたが、受診する必要がありますか?

A. はい、ぜひ一度ご相談ください。脂肪肝は「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓からの大切なサインです。自覚症状がない段階で放置してしまうと、肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあります。また、肝機能の数値異常は全身の血管にも影響を与え、将来の腎機能低下や心血管疾患の原因となることもあります。早めの対策が、将来の健康を守る鍵となります。

Q. お酒はほとんど飲みません。なぜ脂肪肝になるのですか?

A. お酒を飲まない方でも、食事内容の偏り、運動不足、遺伝的な体質、あるいは糖尿病や脂質異常症などの代謝異常が原因で脂肪肝になるケース(非アルコール性脂肪性肝疾患)が非常に増えています。特に「内臓脂肪」の蓄積が主な原因であることが多く、これは生活習慣の改善によって十分にアプローチ可能な疾患です。

Q. 減量が大切と聞きますが、何度も挫折しています。クリニックで何ができますか?

A. 無理な食事制限や激しい運動だけで痩せようとする必要はありません。当院では、「医学的な減量」のサポートを行います。まず、血液検査やエコー検査であなたの現在の体の状態を正確に数値化し、無理なく続けられる生活習慣の改善プランを一緒に立てます。

また、医学的なアプローチとして「肥満症」の治療も選択肢の一つです。BMIが27以上で、肥満に起因する健康障害(非アルコール性脂肪性肝疾患などの肝疾患も含まれます)を2つ以上お持ちの場合、薬物療法などが検討されます。

なお、これらの薬物療法を保険診療として行うには厚生労働省が定める施設基準を満たす必要があります。当院は現在その認定施設ではないため、肥満症治療やダイエットサポートを行う際は「自費診療」となりますが、一人ひとりの体質やライフスタイルに合わせた、治療プランを提案いたします。

一人で抱え込まず、まずは医学的な管理のもとで一緒に健康的な体を目指しませんか?

[当院のダイエット外来(自費)については、こちらから詳細をご覧ください]

Q. なぜ「腎クリニック」で脂肪肝を診てもらうのですか?

A. 肝臓と腎臓は、どちらも全身の「代謝」や「解毒」を担う、非常に密接な関係にある臓器だからです。脂肪肝を改善することは、血管のダメージを減らし、結果として腎臓を守ることにつながります。当院は腎臓専門のクリニックであるからこそ、肝臓と腎臓という「二大代謝臓器」を同時にケアする、より包括的な視点で健康管理を行うことが可能です。

Q. 初診の際は、どんな準備が必要ですか?

A. 特別な準備は必要ありませんが、もし健康診断の結果や、お薬手帳をお持ちであれば、ぜひご持参ください。現在飲んでいるお薬との飲み合わせや、過去の数値の推移を確認することで、より適切なアドバイスが可能になります。もちろん、健診結果が手元になくても大丈夫ですので、まずは今の不安をお気軽にご相談ください。

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